梅棒さんの「クリス、いってきマス」を観てきました。5回。
クリスマスをテーマにした作品です。毎公演ですが、やはり感動です。なるべく内容は伏せるつもりですが、曲名などネタバレ少し含みます。主演の生駒里奈さん、名前は存じていたのですが、今回初めて目にしました。クリスという少年役なのですが、素晴らしい舞台度胸です。そして動きと表情を目にするたびにクリスというキャラクターが伝わってきて明確になっていきます。女性が少年の役をやっているからなのか、この方が持つ特性なのか、中性的で漫画にでてきそうな明るく活発なキャラクターが物語を動かしていきます。ノンバーバルなのに声まで伝わってきそうなほどです。素晴らしいです。
オープニングの「ミックスナッツ」は裏拍?のほうがリズムを取りやすいと思うのですが、客席は表の拍で手拍子をしています。実際振付で裏箔で手拍子が入っているので、たぶん裏箔を意識して踊っていると思うのですが、客席の大きな表の手拍子のなか惑わされず踊れるのはすごいなと心から感心します。ズトマヨの良いノリと声(セリフ?)に合わせた振付や30年前の回想にいないはずのクリスを見付け首を傾げるサンタの落ちなど大好きです。「誘惑」のビクターが威圧的に睨むときの面白い振付やボックスを踏むメイドとBig G、ロシアの木の精霊たち、女装した男性キャストなど書ききれないほど、隙があれば楽しませてやろうという感じで目が足りません、そして書ききれません。今回悪役はなく、気持ちの強さとすれ違いでそうなってしまったビクターの問題がまとまったと思った直後に起こる大問題に全員が総力を尽くして向かう「アポロドロス」の最後、雪の演出と照明に照らされた中性的で妖精のように可愛らしいクリス、それに追いかけるように見せられる全力を使い果たし疲労困憊で集まるかつての同志が疲れ切りながらもやり切った充足感をささやかでも温かい光が包む演出。感動です。
残すチケットはあと1枚だけです。本当は1日置きくらいで観たい。それが無理なら中2日くらいで観たいのですが、そうもいかないため、最後にもう一度しっかり観てこようと思います。
先日、観劇を終えある商業施設に入ったとき、小さな女の子が一人でいるのが目に入りました。表情で迷子だとわかったのですが、おじさんが下手に声をかけてしまうと即事案になってしまうので、店員さんを探すため店の奥に進むことにしました。店員さんを見付けるよりも先に女の子の名前を呼んで探している父親らしき人とちいさな男の子を発見し、入口付近に小さな女の子が一人でいたと伝えました。ついていくのはちょっとおせっかいかなと思いその場で少し待ち探すお父さんが戻ってこないので会えたと信じ移動したのですが、後になってそれで本当に良かったのかと考えてしまっています。後からこうはできなかったかとか考えるものの実際の現場でそれに思い至ることが出来るのか、シチュエーションは毎回違います。少なくとも我関せずではいなかったことは成長していると思いたいです。